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第4回 受賞作と講評

第4回 受賞作と講評

大賞:『水兵リーベ僕の艦』時武 ぼたん

大賞:『水兵リーベ僕の艦』時武 ぼたん

総評

総評

「ゴールデン・エレファント賞」第4回の大賞は、時武 ぼたん氏の『水兵リーベ僕の艦』に授与されることとなりました。

第4回を数えるまでになった「ゴールデン・エレファント賞」は、応募者も他のアワードで上位の選考に残る経験を重ねた方も多く見うけられ、今回は読み応えのある作品揃いでした。最終選考まで残った5作品は、最近人気の高い歴史小説から宇宙を部隊にした未来小説など多彩で、審査委員ぞれぞれの観点からの評価が交錯しつつ白熱した議論が続きましたが、最終的にはジャンルではなく楽しめるストーリー性という総合面での審査の結果、『水兵リーベ僕の艦』が大賞に輝きました。


「ゴールデン・エレファント賞」運営事務局

最終選考委員による選評

最終選考委員による選評
大賞:『水兵リーベ僕の艦』時武 ぼたん

小説として終始飽きずに読むことができる一篇だった。枚数が多いわりにストーリー展開が抜群で読みやすい。特徴のあるキャラクターをうまく書き分けている。題材の扱い方が秀逸で、自衛隊という専守防衛を標榜する組織の性格上、帽子がなくなったせいで敬礼の儀式をスムーズに行えないことが「未曾有の危機」であるなど、大きな事件がないことが逆に真実味を高めている。作品で描かれる男女均等主義についても描き方がリアルで、しっかりしたセンスの賜物である。
しかし節々に筆者の照れが見えるため、読者が期待するものを提供するというエンタメの練りこみができていない。例えば最後の1/4のクライマックスについては、金を盗んだとか小さなミステリーにして逃げるのではなく、よりダイナミックなカタルシスのあるシーンを入れるべきである。自衛隊が活躍するようなエピソードにするとか、しっかりと恋愛も描いたほうが良い。作品名に引用された化学式の暗記方法の伏線はストーリーに対してあまり意味がなく、単なるこじつけのようだった。

練習艦「あやぐも」に着任した小菅千春三尉は、あるとき艦上で幹部の帽子が紛失するという事件に遭遇する。同期の小山田によると、どうやらそれは千春を含む「ウェーブ」と呼ばれる女性陣が着任していることを不満に思った面々による嫌がらせだったらしいのだが、その後も艦隊の演習を妨害したりする「事故」が連発する。そんな中、ウェーブである楠木三曹が、ウェーブ嫌いで知られる宮内三曹と付き合っており、おまけに楠木三曹が妊娠しているらしいとの情報が入ってくる。

時武 ぼたん(ときたけ ぼたん)

1971年生まれ 主婦

受賞コメント

「本が好きで、いつか本を書く人になりたい。幼少期からの夢実現の機会を与えて下さった選考委員、関係者の皆様、ありがとうございます。これからも最大の関心事「人間」をテーマに書き続けていきたいです。」

  • 第4回受賞作
  • 2次選考通過作品
  • 1次選考通過作品
主催:ゴールデン・エレファント賞運営委員会
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